« 議論すら成立させずに勝利をつかみ取る単語 | トップページ | 「勉強が出来る」事の価値 »

【少女漫画】ハチミツとクローバー(羽海美チカ)

美大の学生や教師などの片思いを描いた物語です。
思春期を少し過ぎたモラトリアムの頃の青臭さやほろ苦さをぐつぐつ煮詰めたような、一人で読んでるのに恥ずかしくて叫びだしたくなって思わず周りを見回してしまうような漫画です。

この作品のころの羽海野チカさんはシリアスとギャグの分量が絶妙で、シリアスな部分を破たんさせない程よい緩さが出るギャグが良いタイミングで挟まれています。

美術の天才である花本はぐみという少女に恋をする竹本の視点から物語は始まります。
一目ぼれから始まり、花本はぐみの美術への思い、その取り組み方や苦悩を見て彼女に恋をすればするほど、竹本は凡人である自分の弱さや情けなさを実感していきます。
そして就職もうまくいかず、自分が何がしたいのかもわからずに、竹本は自転車に乗って一人旅に出てしまうのです。

僕は読んでいてこんな旅したかったなぁ、と思わず思ってしまうような楽しくて孤独でお尻がやけにいたくなるようなその青臭さがたまらなく懐かしい気持ちになりました。
旅から帰ってきた竹本には待っていてくれる人がいて、成長した彼をむかえてくれるのです。

一方、竹本と同じ寮に住む真山はバイト先のデザイナーにストーカーのような恋をしています。(とゆーか完全にストーカーなんですけどね)
そんな真山に恋をする山田あゆみ。山田あゆみの思いは真山に筒抜けで、でもそれにこたえることは出来ない真山。
真山の背中から山田あゆみが告白するシーンはまさにこの物語の名シーンの一つで胸がしめつけられる思いがしました。

やがて、卒業を迎えてみな離れ離れになる日、竹本は花本はぐみを自転車の後ろにのせて告白をします。
それは、ただ自分の気持ちを伝えたいというだけの純粋な告白で、そんな損得勘定なしの恋をした思い出がある人も多いのではないでしょうか。

旅立ちの列車の中で竹本は自分に問いかける。

―ずっと考えていたんだ。

―かなわなかった恋に意味はあるのだろうかと

別れ際、花本はぐみがくれたクローバーが詰まったサンドウィッチを食べながら答えをみつけます。
そう思えるから、片思いになってしまったことも全部受け入れてまた新しい恋ができるのだと思います。

片思いをしたことがある人なら絶対に共感できるはずです。

今片思いをしている人にも、片思いしてた頃を思い出したい人にもオススメの漫画です。
ただし、絵がちょっとメルヘンなので少女漫画が苦手な人にはつらいかもしれません。

ちなみにこの漫画は1巻だけ読んで読むのをやめてしまうのはもったいないです。
なぜなら、描きだしたころはたぶん連載が続けられるかわからなかったようで、ほぼ1話完結のギャグ漫画みたいになっている。
2巻以降に片思いが表面化してきた頃からがこの物語の始まめりなので、まだ読んでない方はとりあえず2巻までは読んでみてください。

|

« 議論すら成立させずに勝利をつかみ取る単語 | トップページ | 「勉強が出来る」事の価値 »

漫画レビュー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1257139/31868237

この記事へのトラックバック一覧です: 【少女漫画】ハチミツとクローバー(羽海美チカ):

« 議論すら成立させずに勝利をつかみ取る単語 | トップページ | 「勉強が出来る」事の価値 »